
バー暗闇という店でビールを一杯だけ頂いてきました。
ビールの銘柄も、店の雰囲気も、どんな内装だったのかも、マスターの顔さえ分かりません。
なにせ、名前とおり店の中は真っ暗。その店に向かう道中も真っ暗闇。
覚えているのは、栓を抜く音とグラスに注がれるコポコポという音。
キンキンに冷えたグラスの温度と、ビールの味。そして、10人の話し声とそこに連れて行ってくれた8人の手の感触だけでした。
なんのこっちゃと思うかもしれませんが、ご存知の方も多いと思います。
『Dialog in the dark』行って来ました。
あまり詳しくは書かないけど、感想をば。
これから行くつもりで知りたくない〜って人はここから先は読まないでくださいね。
--------------------------------------------------------------
去年の開催でずっとキャンセル待ちをしてたんだけど、結局叶わず。
ナンチャンの連絡で今年の開催を知り、とある日の朝キャンセルが無いかチェックしてみると空きが出たというので、嫁と参加。
その日はみんなコンビで参加していたので、他の6名+アテンドの計7名が全くの初対面で90分のアトラクションを一緒に体験するわけだ。
アテンドしてくれたのは『きのっぴ』というハスキーボイスの持ち主。
視覚障害者だけども、これから向かう暗闇のプロフェッショナル。
この声を頼りにしなきゃならないんだと思い、声に聞き入る。
8名の参加者で軽く自己紹介なんかするわけだけど、やっぱりまだどこかよそよそしい感じ。
でも、きのっぴが『このチームは良い感じだね』と言ったのが印象的だった。
暗闇に入って数十秒でさっきまでのよそよそしさはどこかに吹っ飛ぶ。いきなり吹っ飛ぶのである(笑)よそよそしいと生きていけないのである。
出会って五分。全員があだ名で呼び合い、困ってる人がいたら誰もが手を差し伸べ、迷子はいないか確認する。こんなに人の手の温もりがありがたいと思ったことがあっただろうか。
踏みしめる落ち葉の音、川のせせらぎ、鳥のさえずり、野菜の手触り、ブランコの揺れる音。
そしてはじめに触れたグラスに注がれるビールの音、その味。
普段から感じたことを曲にしたり、なにかしら作品作りをして、五感を働かせてる自信は少なからずあったのだけれど、使い切ってないなぁ…
と思いましたよ。
まだまだ研ぎ澄ませなきゃ。
暗闇から開放された部屋には9つの椅子があった。
あ〜開放された〜と、皆、思い思いに椅子に座ると最語にやって来たきのっぴが『どの椅子が空いていますか?』と聞いてきた瞬間にガーンときた。
ついさっきまで、あんなに頼りにして、皆を先導してくれていたリーダー、きのっぴが視覚障害者だという事をすっかり忘れていたのだ。
すこし胸が痛くなった。
僕はきのっぴの声を忘れない。
--------------------------------------------------------------
会場を後にしたあと、近所の酒屋でビールを購入。
バー暗闇で飲んだビールは何だったのかを知るためである。
(マスターには、国産ですけど、銘柄は教えられませんと言われた)
僕のフェイバリットではないのは確かだったし、消去法で行くとこれだろうとあたりをつけた某メーカーのビール。
嫁と二人、目を瞑って、味を確かめてみる。
『…これだよね』
『…うん、これだよね』
味音痴夫婦なのであまり自信はないけど。
普段、どれだけ視覚に頼って生きてるのかを実感した一日だった。
そして、きのっぴの世界もどんなとこだったのかを知った。
年間開催、叶うといいね!きのっぴ。
posted by bamboo-hat at 02:52|
Comment(0)
|
TrackBack(0)
|
日記
|

|